Prelude: Fiddler



 間違えたのはいつからだろう


 クリスマスの夜はとても騒がしく

 集会所

 わたしはいつものように隅


 目の前に並べられるプレゼントは
 包装されず

 好きなものを選べるという


 誰かしら


 片方のはさみのない白い蟹がいると

 小さなストラップに手を伸ばす


 子供達は

 あきらかなハズレをみつけて騒ぎ出し

 大人達も

 揃えたものを気にして代わりもなくて


 大勢は一斉に悩み出し


 けれども時間が来たら

 予定通りに始まるじゃんけんに

 わたしは

 最初に勝ってしまうから

 片方のはさみのない白い蟹を選ぶ


 望むままに

 辺りは静まる

 けれども向けられる視線を


 どうしたら良いのかも

 わからなくて

 わたしはいつものように隅


 ──無題 2004年12月25日。書き終えて鉛筆を置く鏡花。

 片方のはさみしか持たない小さな蟹のストラップを手に取る。左指で突くと、夜の冷え込む空気の中で、僅かに揺れる。


 あの日から時は経つ。



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